- 「『辞典』と『事典』は何が違うの?」
- 「『辞典』と『事典』の使い方を分かりやすく教えてほしい?」
という疑問をお持ちではありませんか?
この記事では事典やWebライターをしている筆者の経験の観点から解説します。
具体的には
- 「辞典」と「事典」の違いと使い分け方
- 「辞典」の意味と用法
- 「事典」の意味と用法
の順番にご紹介していきます。
「辞典」と「事典」の違いと使い分け方
「辞典」と「事典」は、どちらも「じてん」と読みますが次の違いがあります。
- 辞典:言葉の「発音・語源・意味・用法」などが書かれている本
- 事典:言葉を「専門的」に解説した本
辞書には以下のように記載されています。
(辞典:じてん)
(1)国語辞典・対訳辞典など、語の言語としての意味・用法と内容を示す辞書。言語辞書。字引(じびき)ことばてん。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞泉)
(事典:じてん
百科事典や専門語辞典など、語を手がかりとして、それを名目とする事柄の内容を知らせる辞書。ことてん。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞泉)
このように、どちらも「言語の内容」について説明した書物ですが、次の違いによって使い分けます。
- 辞典:「言語の意味や用法」
- 事典:「言語を名目とする事柄の内容」
たとえば、次の場合はどちらが、どの言葉を使うのでしょうか?
- 「子どもが英語に興味をもったので、英語(じてん)を買った」
- 「子どもが英語に興味をもったので、英語の専門(じてん)を買った」
正解は、以下のように使います。
- 「英語(じてん)」の場合:「言語の意味や用法」を説明しているので「辞典」
- 「英語の専門(じてん)」の場合:「専門的な内容」を説明しているので「事典」
このように、どちらも「英語の言語について説明した書物」ですが、内容が「意味や用法」なのか、「専門的」なのかの違いで使われる言葉も異なります。
そのため、言葉の違いを覚えるときには「辞典=意味や用法」「事典=専門的」と覚えると良いでしょう。
「辞典」の意味と用法
「辞典」とは、「言語の意味や用法について説明した書物」という意味です。
例文を使って分かりやすく解説します。
- 子どもが小学生の授業で国語辞典が必要になったので購入した
- 英単語の意味を調べるために英語辞典を買った
- 漢字は分かるが、意味が分からないので漢和辞典で調べた
- 最近ではスマホに翻訳機能が搭載されているので、昔のように和独辞典で言葉の意味や用法を調べなくてもよくなった
- 昔は書店で買った原稿用紙や辞典は、風呂敷に包んで持ち帰ったものだ
- 偉人について人名事典で調べてみよう
- 魚の辞典で捌き方を調べたけれど、詳しく説明されていない
- 同じ国語辞典でも出版社によって、言語の解釈が微妙に違う
- 作文で知的な一面を見せようと思い、ことわざ辞典で普段使われないような「ことわざ」を調べた
- この書店には、探している英会話の辞典や参考書がない
このように「辞典」は、「言語の意味や用法(使い方)を知りたい場合に、用いられる書物」を表現するときに使います。
また、漢字にも意味があり、辞書には以下のように記載されています。
(辞:《音読み》ジ、《訓読み》や・める、ことば、ふみ、ことわる)
①{名詞}ことば。単語をつらねたことば。細かい表現。「言辞」「美辞麗句」
②{名詞}ふみ。ことばをつらねて書いた文章。「文辞》「辞章)
③{名詞}裁判での申したて。
④(ジス){動詞}ことわる。いいわけをする。いいわけをのべて、受けとらない。また、職をやめる。「推辞(ことわる)」
⑤(ジス){動詞}あいさつをのべて去る。いとまごいをする。「辞去」「辞別」
⑥{名詞}文体の様式の名。「楚辞」の流れを引いた韻文。のち、散文化して、風物に即して感興をのべるようになった。「辞職」「秋風辞」
《解字》
会意。もとの字は「乱れた糸をさばくさま+辛(罪人に入れ墨をする刃物)」で、法廷で罪を論じて、みだれをさばくそのことばをあらわす。
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
(典:《音読み》テン、《訓読み》のり、つね、つかさどる)
①{名詞}ずっしりとした、貴重で基本となる書物。「古典」「経典」
②{名詞}のり。ずっしりとした基準となる教え。転じて、原則のこと。「典範(テンパン)」「典型」
③{形容詞}つね。古典の教えの意から、ずっしりとしてかわらない基準の。「典常」「典例」
⑤{動詞}つかさどる。職務として一定の仕事をあずかる。
《解字》
会意。上部は長短ある竹簡(竹礼に書いた書物)の形を描いたもので冊の字の原形。下部にそれを載せ並べる台の形を加えたもので、ずっしりとした書物を平らに陳列することを意味する。
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
このように漢字一文字を見ても、「言葉・細かい表現」や「基本になる書物」という意味があります。
また、漢字の意味を組み合わせると「単語をつらねたことばや細かい表現、貴重で基本となる書物」となり、「言葉について細かく表現をした基本の書物」と解釈できます。
さらに、類義語には次の言葉があります。
字引、字典、字書、音引き、画引き、検索、書籍、ブック、図書、書物、書誌、読み物、参考図書、図鑑、図録、図譜、年鑑、解説書、ハンドブック、マニュアル、ガイドブックなど
類義語はこの他にもありますが、読者にとって読みやすく理解しやすい言葉を適切に使って、執筆するように心掛けましょう。
「事典」の意味と用法
「事典」とは、「言語について専門的に説明した書物」という意味です。
例文を使って分かりやすく解説します。
- 母は趣味の園芸を本格的にはじめるため、園芸事典を購入した
- カメについて詳しく調べたいので、百科事典を買った
- 魚の捌き方が知りたいので、包丁の使い方事典で調べた
- 子どもが鉄道事典をほしがっている
- 地球の起源について事典で調べる
- 今では分厚い紙の事典ではなく、電子辞典で簡単に調べられる
- 歴史事典を見て、歴史の勉強をする
- 魚類事典には多くの魚が掲載されている
- 航空事典で、超音速旅客機「コンコルド」を見たことがある
- 爬虫類を飼いたいので、両生類事典で飼育方法を調べた
このように「事典」とは、「専門分野に特化した内容を説明した書物」という意味があり、専門分野のジャンルに制限はありません。
また、漢字の意味を調べると、以下のように記載されています。
(事:《音読み》ジ、《訓読み》こと、こととする、つかえる)
①{名詞}こと。用事。仕事。事がら。
②{名詞}こと。出来事。
③{動詞}こととする(こととす)。問題として扱い、処理する。
④{動詞}つかえる(つかふ)。そばにたって雑用をする。用明に応ずる。
《解字》
会意。「計算に用いる竹のくじ+手」で、役人が竹棒を筒(ツツ)の中にたてるさまを示す。のち人のつかさどる所定の仕事や役目のいに転じた。また、仕(シ)(そばにたってつかえる)に当てる。
(引用サイト:広辞苑無料検索 学研漢和大辞典)
漢字の意味を組み合わせると、「出来事・事柄、貴重で基本となる書物」となり、「基本となる出来事や事柄について書いてある書物」と解釈できます。
また、類義語には次の言葉があります。
図録、百科事典、図鑑、図譜、辞書、字引、便覧、一覧、解説書、ハンドブック、概論、案内書、マニュアル、ガイドブック、大全、教科書、地図、参考書、手本、テキスト、読本など
多くの類義語があるので「事典」の使い方に困った場合には、類義語も使って読者が分かりやすい文章を書きましょう。
まとめ
この記事では、「辞典」と「事典」の違いと使い分け方を解説してきました。
- 「辞典」とは、言語の「意味や用法」を説明した書物のこと
- 「事典」とは、言語を「専門的」に説明した書物のこと
ぜひ参考にしてください。
コメント