- 「『大勢』と『体制』何が違うの?」
- 「『たいせい』には他に使い方や意味があるの?」
という疑問をお持ちではありませんか?
この記事では辞書やWebライターをしている筆者の経験の観点から解説します。
具体的には
- 「大勢」と「体制」の違いと使い分け方
- 「大勢」の意味と用法
- 「体制」の意味と用法
の順番にご紹介していきます。
「大勢」と「体制」の違いと使い分け方
「大勢」と「体制」はどちらも「たいせい」と読みますが、次のような違いがあります。
- 「大勢」:大きな勢力
- 「体制」:社会的組織
みなさんもお気づきだと思いますが、「大勢」には「おおぜい」と読むことがあり、多くの方がこちらの「おおぜい」を使っているでしょう。
辞書には以下のように記載されています。
(大勢:たいせい)
(1)物事のなりゆき。また、世の中のなりゆき。
(2)大きな権勢。
(大勢:おおぜい)
たくさんの人。多人数。副詞的にも用いる。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞林)
(体制:たいせい)
(1)細胞・組織・器官などの分化の程度やそれらの配置の状態から見た、生物体の基本構造。
(2)ある基本原理・方針によって秩序づけられている、国家・社会・組織。
(3)政治支配の様式。特に、既存の社会的組織。
(引用サイト:広辞苑無料検索 大辞林)
辞書の意味からもわかるように、「物事のなりゆき・多人数」と「秩序ある組織」という違いがあります。
たとえば「社会(世の中)」について文章を書く場合、次のような違いがあります。
- 「社会の(たいせい)に従う」場合は、「大勢」を使います。
この場合は「社会の(なりゆき)に従う」と置き換えることができます。
- 「社会の組織(たいせい)を作る」場合は、「体制」を使います。
この場合は「社会の組織(仕組み)を作る」と置き換えることができます。
このように同じ社会でも、「なりゆき」なのか「仕組み」なのかによって使い方も異なります。
「大勢」の意味と用法
「大勢」とは、「なりゆき・形勢」という意味ですが、これは「たいせい」と読んだ場合であり、「おおぜい」と読むと意味が変わってきます。
読み方の意味には、大きく分けて次の違いがあります。
- 「たいせい」:なりゆき、形勢
- 「おおぜい」:数を表す
例文を使って分かりやすく解説します。
(大勢:たいせい)の場合
- 明日以降の準備は試合の大勢によって変更する
- 世界の大勢を見れば今後の情勢が分かる
- 会社の大勢を見てから今後を検討しよう
- 時代は繰り返されるので過去の大勢を調べれば今が分かる
- 今後も大勢に変化はない
(大勢:おおぜい)の場合
- 今日のセミナーには大勢の観客がきている
- 大勢の市民が見ている中で演説を行う
- クリスマス会には大勢の子どもたちが集まった
- 市民マラソンには大勢が参加者してくれた
- 宝くじを買いに行くと大勢の人が並んでいた
それぞれ「大勢」が何を対象にしているかによって使い方が異なるので、誤解を招かないように注意して使い分けましょう。
また、漢字にもそれぞれ意味があり、辞書には以下のように記載されています。
(大:おお)
①広大または多量の意を表す。「-川」「-雪」
②尊敬または賛美の意を表す。「-君」「-江戸」
③程度が大きくはげしい意を表す。「-あわて」「-いばり」
④血筋の順序で、上位の意を表す。「-おじ」
⑤重要の意を表す。「-勝負」
⑥最後極限の意を表す。「-晦日」「-詰め」
⑦全体にわたる意を表す。「-づかみ」
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
(大:たい、だい)
①おおきいこと。おおきいもの。おおきさ。「声を-にする」「あずき-」
②(中・少に対する)最上級のもの。「-納言」
③程度の甚だしいこと。おおいに。「-の酒好き」「-嫌い」
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
(勢:せい)
①いきおい。力。
②兵力。軍隊。
③体などの大きさ。背たけ。
伊勢国いせのくにの略。
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
(勢・い:いきお・い)
①人・物・事が発動・進行したり、物・事の作用を発動・進行させたりする場合に、その強さ・速さなどに現れる力。
㋐活動力。躍動する力。
㋑他を圧する力(の現れ)。勢力。
㋒物事が進行するはずみ・なりゆき。
②その時のなりゆきで。その結果として当然
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
辞書の意味からも分かるように、漢字を組み合わせると「重要でおおきな力、物事のなりゆき」という意味があり、漢字一文字にも語源の意味が含まれています。
また、類義語には次の言葉があります。
多勢、大群、群衆、集団、群れ、集り、一団、グループ、烏合の衆、多数派、大部分、大多数、過半数、主流派、大人数など
状況や表現したい対象によって、類義語もまじえて分かりやすい表現ができるように心掛けましょう。
「体制」の意味と用法
「体制」とは、「組織、全体の統一を保っている関係」という意味で、特に「政治的権力に支配されている状態」のことを指します。
一般的には、「教育体制」「資本主義体制」「社会主義体制」などがあります。
分かりやすく例文を使って解説します。
- この度会社の経営陣が入れ替わり、新体制になった
- パンデミックで医療体制が崩壊しそうだ
- 大災害に備えて危機管理体制を整備しておく必要がある
- 警備は24時間体制で監視を行う仕事だ
- 現場の作業効率を改善するためには管理体制の見直しが重要だ
- 現体制よりも旧体制の方が良かった
- 高齢者の急増により介護体制のテコ入れが急務だ
- いつから日本人は3食食べる体制になったのだろう
- わが社は3交代の勤務体制で稼働している
- 管理釣り場は管理体制が行き届いているので安心だ
このように「体制」は「組織・支配されている状態」を表現するときに使われますが、状況によっては「システム」に置き換えて表現することも可能です。
また、辞書を調べると漢字の意味が以下のように記載されています。
(体:たい)
①からだ。
②かたちあるもの。かたち。形式。形態。「-を備える」
③物事がはたらく際、もとになる存在や組織。
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
(制:せい)
①さだめること。のり。おきて。
②天子の命令。勅命。
③しくみ。やり方。「入れ替え-」
④とどめること。おさえること。したがわせること。いさめ。
(引用サイト:広辞苑無料検索 広辞苑)
辞書の意味を組み合わせると、「体制」とは「物事がはたらく際、もとになる存在や組織のおきて。しくみ」という意味になり、「組織のルール」や「組織のシステム」と解釈できます。
そのため、「体制=組織のルール」として覚えれば、他の「たいせい:大勢・態勢・耐性・大成」などと使い方を間違うことはありません。
また、類義語には次の言葉があります。
構成、構造、組織、体系、オーガナイゼーション、編成、編制、系統、配列、順序、順番、規律、秩序など
使用目的に応じて、類義語も含めた適切な言葉で表現するように心掛けましょう。
「大勢」と「体制」の違いや使い分け方を例文を使って分かりやすく解説!:まとめ
この記事では、「大勢」と「体制」の違いと使い分け方を解説してきました。
- 「大勢」とは、「なりゆき、形勢」のこと
- 「体制」とは、「組織、ルール、システム」のこと
ぜひ参考にしてください。
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